特定課題研究
取り組む内容
技術経営(MOT)専門職大学院における教育の目標は、技術と経営の複眼的な視点から社会や企業、組織における様々な問題に対して解決を目指して取り組む力を学生が習得するところにあります。このためには個別の専門的知識やスキルの習得に止まらず、自ら課題を探索し、かつその課題の創造的解決に向けて、知識やスキルを解決すべき問題の性質に照らし合わせて選択的かつ複合的に活用する経験が必要です。このような観点から、技術と経営に関わる領域において自ら設定した課題に対し、講義、演習、事例を用いた討議などを通じて習得した知識、スキルなどを総合して技術と経営の複眼的視点から解決を目指した創造的な取り組みを行うのが、特定課題研究です。
そのため、特定課題研究の成果としては次の要件を満たすことが求められます。
- 専門職大学院において習得した知識やスキルが活用されていること。
- 適切、妥当な論理の展開であること。
- すなわち検討、考察の対象となるデータは妥当な方法で収集されたもので信頼性が確保されていること。分析の手法は適切なものが選択されていること。主張や提言には創意工夫がみられ、すでに知られていることを単に繰り返し述べているだけでないこと。
- 次のうち少なくとも2つを具備していること。
- 有用性:単なる個人の感想や調査結果の羅列ではなく、社会、産業、企業、組織などへの貢献が見込まれること。
- 実現可能性:主張や提言は実現可能性を示す内容になっていること。
- 学術的価値:客観性、厳密性、普遍性、新規性、独創性などの点で学術的価値を有した内容であること。
進め方・スケジュール
特定課題研究は、学生が将来のキャリアパスを想定した課題テーマを選択し、自主的に研究を進めるものです。それぞれの学生には、主指導教員1名と副指導教員が付き研究の進め方や内容についてディスカッションなどを通じて指導を行います。この間に全教員の前で3回の発表会を行います。発表会にはほかの学生も参加しますが、研究テーマが特定企業の業務内容に関わるような場合には非公開として教員のみの説明とすることもできます。
これまでの特定課題研究テーマ
技術戦略・研究マネジメント
- 新規設備投資における設備コスト低減の方策
- 鋳造技術の軽量化達成プロセスの構築
- B社の機能製材料の開発における技術的考察
事業戦略
- 化学企業における中間体事業の戦略について
- C社のアグリビジネスの展開について
- D社のフィルム事業のリストラクチュアリングに関する考察
知的財産
- 特許価値評価を核としたIPコンサルティングの考察
- 中小企業における知的財産戦略の支援
地域イノベーション
- 中国地域における健康食品産業の高度化の提案
- 自治体における産業政策の段階的構造と課題
- 地域活性化に資する廃校利用の在り方の提案
その他
- 将来の自動車産業におけるビジネスモデルの検討
- 自社の経営承継と経営体質改善
- カスタマーサービス向上を図る研修制度改革
- 中堅・中小企業における経営変革プロセスの研究