山口大学技術経営研究科

FAQ

Q1.MOTとは何ですか?

A1.MOT(Management of Technology)とは一般に技術経営と訳され、経済産業省によれば、「技術に立脚する企業・組織が持続的発展のために、技術が持つ可能性を見極めて事業に結び付け、経済的価値を創出していくマネジメント」とされています。つまり、技術を効率的に活用して企業経営に役立てようという考え方と理解してよいでしょう。

Q2.具体的にMOTとは何をすることなのですか?

A2.MOTの中身はいろいろありますが、イノベーションを創出して技術の成果を利益に結びつけるようマネジメントをするということで、例として次のようなことの方法論を確立し実践することです。即ち、企業での研究成果から新商品開発の効率的遂行、特許や著作権、ブランド価値などの知的財産重視の戦略、自社の強みを発揮できるような事業分野の適切な選択、ヒト・モノ・情報などの自社の経営資源と外部資源の利用の最適な組合せ、新規事業創出やベンチャービジネスの起業の促進、新規事業を中心とする各種プロジェクトの計画的かつ合理的遂行、などが挙げられます。

Q3.MOTが重要だということを最近よく聞きますが、どのような理由があるのでしょうか?

A3.日本の産業の競争力は1980年代まで世界の中で極めて高いと評価されていたのですが、90年代以降急速に低下してきました。これは技術そのもののレベルは高いもののそれを企業の収益につなげる経営方法に問題があったためと考えられます。それまでわが国は右肩上がりの経済成長を前提に欧米を目標としたキャッチアップ型の経営をしていればよかったのですが、フロントランナーとして独創性が求められ、戦略的なマネジメントの判断が必要になってきました。一方、急速な技術革新や市場ニーズの変化等の不確実性が高まった中でそうした適切なマネジメントの判断を行うのが難しくなったことが大きな理由といえます。

Q4.MOT教育というのは、いつ頃からどのような背景で始まったのですか?

A4.大学におけるMOT教育は1980年代に米国のボストンにあるマサチューセッツ工科大学の経営大学院(MBAコース)で開始されたのが最初といわれ、米国の産業競争力強化を研究するさまざまなプロジェクトの中で発展してきました。経済産業省によれば、米国では現在、160を超える大学でMOTコースが設置され、年間1万人以上の技術経営人材が輩出されていると推定され、産業競争力の強化に重要な役割を果たしています。日本では平成15年ごろからMOT教育の専門職大学院が登場するようになっています。

Q5.わが国のMOT教育ではどのような人を対象として、どのような形態で行われるのでしょうか?

A5.MOT教育は主として技術系企業の研究開発部門や企画部門に属して社会経験をお持ちの方々を対象として、技術の本質と経営の両面に精通する能力を養成するもので、専門職大学院に入って学ぶのが一般的です。ここで学んだ方々は将来、企業の中でCTO(最高技術責任者)、またはその予備軍として活躍されることを想定しています。

Q6.専門職大学院とはどのようなもので、そこではどのような教育が行われるのですか?

A6.専門職大学院は、平成15年度に新たに制度化されたもので、それまでの大学院が研究者の養成を中心としていたのに対し、高度な知識を有する専門的職業人の養成を目的としており、弁護士などの法律実務家を養成する法科大学院がよく知られています。技術経営分野では、技術と経営の両方に通じる学際的な知識・スキルやビジネスの現場で通用する実践力を養うため、座学のみでなくケースメソッドなどにより問題解決や意思決定能力を高めることも重視されています。社会人の方が企業に勤務しながら学べるよう、平日の夜間と土曜日の授業を受けることにより修士課程を修了できる形態が多くなっています。